トピックス
TOPICS
指導内容とその伝え方
【管理監督者性とパワハラ】
これは、名ばかり店長であったとするXが、未払いの時間外労働賃金等の支払いと、指導を逸脱した暴言を受けたとし、その慰謝料を求め勤めていたY社を提訴した事件です。
Xは、17年1月より中古自動車販売買取店舗において、正社員として勤務していました。19年6月に店長となり、同時期に精神科のあるクリニックを受診し、翌年5月には、うつ病や発達障害などと診断されていました。
21年5月末に、営業成績改善のための指導を受けた際、「会話すら成立しないなら店長おりろタコが」などの暴言を受け、その後、6月21日付けで退職しました。(雇用保険被保険者離職票には一身上の都合による自己都合退職と記載)
Xは、店長として勤務していた間、実際には管理監督者としての裁量はなく、タイムカードによる勤怠管理を受けていたほか、残業を強要されたり、パワハラを受けたとし、Y社に対し未払い賃金の支払いなどを求め提訴しました。
裁判では、①Xの時間外労働時間、②管理監督者に該当するか、③パワハラの有無と損害が争点となりました。まず、管理監督者に該当するかどうかについて買収や勤怠などについてひとつずつ検討されましたが、基本給が他の従業員と比べ3倍もの差があったことなども含め、残業となってしまうところなども、店長としての職責に付随するものであるといえ、人事や他の権限についても、管理監督者としての裁量がないとは認められないと判断されました。
これにより、時間外労働時間については検討するまでもなく、請求権はないとしました。パワハラにについては、エリアマネージャー(上司A)による営業改善指導を受けた際に、Xに対して、暴言があったかが問われました。やり取りの内容を照らしてみると、原因分析及びその対策を正しい方向へ導くためで指導をしていたものと概括的にはいえるが、「タコが」などの発言は暴言に当たると評価。X自信を貶めるような発言や、高圧的な様態で回答を求めるのは指導の方法として相当性を欠くとし、これらはパワハラに該当するとして慰謝料の支払いを命じました。